立体駐車場とは?仕組みや種類、サイズ制限について
2022.01.26
駐車場の運営を検討しているオーナー様のなかには、平面の駐車場ではなく立体の駐車場の運営に興味がある方もいるでしょう。
立体駐車場には、おもに「自走式立体駐車場」と「機械式立体駐車場」があり、いずれも用途や利便性、セキュリティ面などの特徴が異なります。立体駐車場の運営を成功させるためには、それぞれの特徴を理解し、土地や目的に適した駐車場を選択しなければなりません。
本記事では、立体駐車場の仕組みや種類、自走式立体駐車場と機械式立体駐車場の違い、立体駐車場を運営する際の規制や制限などを詳しく解説します。
立体駐車場とは
立体駐車場とは、建築方法や機械装置により多層化・立体化した駐車場を指します。立体駐車場に対し、平地のまま自動車をとめる空間を設けているのが平面駐車場です。
限られたスペースでも縦方向に有効活用できる立体駐車場は、商業施設や大型スーパー、公共施設、都心部のマンションなどに採用されています。
なお、立体駐車場の形状や階層はさまざまで、収容台数2~3台程度の小規模なものから、地上7階建てで屋上部分にも駐車できる大規模なものまであります。
立体駐車場の仕組みと種類
立体駐車場の種類は、大きく分けて「自走式立体駐車場」と「機械式立体駐車場」の2つです。それぞれの駐車場は「フラット式」や「タワー式」など、構造によってさらに細かく種類が分かれています。
ここでは、自走式立体駐車場・機械式立体駐車場の仕組みと、構造別に細分化された種類について確認していきましょう。
自走式立体駐車場
自走式立体駐車場は、駐車スペースまで自分で運転して車を収容するタイプの駐車場です。地上2階建て以上の階層で構成され、一般的には連結されたスロープで各階層を移動します。
自走式立体駐車場で収容台数を増やそうとすると、ある程度の土地面積が必要になりますが、階層を増やすことができれば収容台数の向上も可能でしょう。
なお、自走式立体駐車場は、外壁の開口率が法律で定められています。それにより開放性が高く、階層が多ければ高さも確保できるため、津波を含めた災害時の避難所として活用されるケースもあります。
自走式立体駐車場をさらに細かく分類したものが、おもに次の3種類です。
- フラット式:各階層をスロープで連結した、最もスタンダードな形式。昇降する車と駐車する車の動線を分けられるため安全性が高い。
- スキップ式:各階層を半階分ずつずらし、スロープの長さを短くした形式。幅の狭い土地でも運営可能で、ドライバーが駐車の空きを見つけやすい。
- 連続傾床式:床全体を緩く傾斜させることで、らせん状のスロープと駐車スペースを兼ねた形式。傾斜やカーブが緩いため運転がしやすく、面積効率も良い。
機械式立体駐車場
機械式立体駐車場は、パレットと呼ばれる台に車を載せ、機械操作で車を収容するタイプの駐車場です。地上2階建て以上、または地下階を含む階層で構成されます。
機械式立体駐車場の収容台数は収納方式によって異なりますが、小規模なものなら2台程度から対応可能です。ただし、平面駐車場や自走式立体駐車場と比べると、基本的に車の出し入れには時間がかかります。
機械式立体駐車場をさらに細かく分類したものが、おもに次の3種類です。
- 地上二段式:パレットを昇降し、車を上下に2台、地上にとめる形式。狭い土地や個人宅でも設置できる。
- ピット二段式:パレットを昇降し車を上下にとめ、下段を地下に収容する形式。上段の車を出し入れする際、下段の車の移動が不要。
- タワー式(垂直循環方式・エレベーター方式):タワーの中で車を載せたパレットが移動し車を収容する形式。外から車が見えないためセキュリティ性が高い。
自走式立体駐車場と機械式立体駐車場の違い
ここまでお伝えした自走式立体駐車場と機械式立体駐車場の違いを、以下の表にまとめました。
自走式立体駐車場 | 機械式立体駐車場 | |
---|---|---|
収容台数 | 収容台数を増やすには、ある程度広い敷地が必要。 | 狭い土地でも多くの台数を収容できる。 |
利便性 | 機械の操作がないため、誰でも気軽に駐車できる。 十分なスペースが確保されているため、車の乗り降りや荷物の出し入れがスムーズ。 |
初心者や運転が苦手な人は負担を感じやすい。 頻繁に車の出し入れをするには不便。 |
セキュリティ | 駐車位置によっては車上荒らしやいたずら、盗難などのリスクが高く、管理人や防犯カメラの設置が必要。 | タワーや装置内に駐車するため、防犯性に優れており、車上荒らしをはじめとするトラブルに巻き込まれる可能性が低い。 |
コスト | メンテナンスがほとんど不要のため、かかるのは照明などの電気代のみ。 | 定期的な点検やメンテナンス、修繕のためのコストがかかる。 |
用途 | 幅広い用途に対応。 災害時の避難場所にも活用できる。 |
駅前や商業ビル、月極駐車場などに多い。 |
収容台数・利便性・セキュリティ・コスト・用途のすべてで、違いがあることがわかるでしょう。どちらの種類を採用するかは、どのような土地で立体駐車場の運営を検討しているのか、どのような点を重視したいのかなどによって、総合的に判断する必要があります。
立体駐車場にはサイズ制限がある
自走式立体駐車場と機械式立体駐車場の違いは、利便性やセキュリティ面などの特徴だけではありません。ここでは、それぞれの駐車場における制限についてお伝えします。
立体駐車場にはサイズ制限がある
自走式立体駐車場は建築物扱いとなることから、建築時には建築基準法などの法規制を守らなければなりません。また、建築する土地の属する用途地域ごとに、階数をはじめとする駐車場の規模に制限がかかります。
さらに、国土交通大臣の認定を受ける場合は、以下のルールが適用されることも覚えておきましょう。
- 階数:6~7階建て以下
- 構造:鉄骨造のみ
- 積載荷重:車輌総重量2トンまたは2.5トンまで
機械式立体駐車場の制限
機械式立体駐車場も自走式立体駐車場と同様に、建築時に建築基準法などの法規制が適用されます。さらに、機械式立体駐車場は機械装置を使って車を収容するため、駐車できる車の条件は自走式立体駐車場よりも厳しくなるのが一般的です。
例えば、車高や車長、車幅、車両総重量について駐車場ごとに制限がかかります。特に、最近の軽自動車は車内を広くするために車高が高くなっているものが多く、駐車場によっては軽自動車でも駐車不可としているケースもあります。
まとめ
立体駐車場には、大きく分けて自走式立体駐車場と機械式立体駐車場の2種類があります。
自走式立体駐車場は、自分で運転して車を収容するタイプの駐車場で、機械操作がなく気軽に駐車できる利便性の高さや、メンテナンスコストが少なく済む点などが特長です。一方の機械式立体駐車場は、狭い土地でも収容効率が高いこと、防犯性が高く車上荒らしなどのリスクが低いことなどが特長といえます。
立体駐車場の建築には建築基準法などの法規制が適用され、駐車場の規模や車両のサイズが制限されます。さらに、国土交通大臣認定駐車場として運営したい場合は、階数や構造、車両総重量などの認定基準が細かく決められているため注意しましょう。
「アットパーキング」では、立体駐車場の募集情報を掲載しているほか、平面駐車場についても、ドライバーが自ら駐車スペースまで運転して車をとめる自走式駐車場として取り扱っています。
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