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駐車場に必要なサイズは?考慮すべきスペースやレイアウトのポイントも併せて解説

駐車場のサイズは法律で規定されているわけではありませんが、国土交通省によって指針が定められています。また、駐車場のタイプや駐車方法、場所などの条件によって、考慮すべきスペースが異なる点にも注意しなければなりません。

そこでこの記事では、国土交通省が定める駐車場の基本サイズをはじめ、実際に考慮すべき駐車スペースやレイアウトのポイントを詳しく解説します。

一般的な車のサイズ

可能な限り多くの台数を収容できる駐車スペースを保有し、かつ利用者にとって使い勝手の良い駐車場にするために、車の一般的なサイズを確認しておきましょう。

一般的な車の平均サイズ(単位:m)

全長 全幅 全高 車種例
軽自動車 3.4 1.48 1.75 ワゴンR、ムーブ など
小型自動車 4.1 1.7 1.5 フィット、ヤリス など
普通自動車(中型) 4.7 1.7 1.5 プリウス、カローラ など
普通自動車(大型) 5.0 1.85 1.5 クラウン、アコード など

上表によると、一般的な車の平均全長、全幅に関しては、普通自動車(大型)の5.0m×1.85mが、最も大きなサイズとなっています。全高に関しては、軽自動車の1.75mが一番大きなサイズです。

国土交通省が指針とする駐車場のサイズ

駐車場のサイズに関しては、国土交通省において「駐車場設計・施工指針」が出されています。車種別の項目を、以下の表にまとめました。

【車種別】駐車場のサイズ、および天井の高さ(単位:m)

駐車場のサイズ 天井の高さ
長さ 幅員 車路 車室
軽自動車 3.6 2.0 2.3 2.1
小型自動車 5.0 2.3 2.3 2.1
普通自動車 6.0 2.5 2.4 2.2

この指針では、設計対象の車種に応じ、上表に記載しているサイズや高さ以上の値に設定することが原則です。

また、駐車マスとも呼ばれる白線ラインで区分けされた駐車場のサイズは、小型自動車は長さ5.0m、幅員2.3mの指針です。例えば、これを先述した一般的な車のサイズと照らし合わせてみましょう。車の長さに対しては約90cm(=5.0m-4.1m)、車の幅に対しては約60cm(=2.3m-1.7m)のゆとりが確保できることが分かります。

タイプ別の駐車場サイズ

ひとくちに駐車場といっても、さまざまなタイプがあります。ここでは、駐車場の代表的な5つのタイプ別に、駐車場のサイズについて解説します。それぞれの特徴を知ることで、効率の良い駐車スペースの割り当てが可能となるでしょう。

平面駐車場

平面タイプの駐車場であれば、普通乗用車のサイズに合わせて駐車場を設営するとよいでしょう。用途に応じて、軽自動車や中型車・大型車専用のスペースを設けることも可能です。

例えば、普通自動車でのスペース確保が難しい場合は、そこに軽自動車を割り当てることで空間を有効活用できます。

機械式駐車場

駐車装置を用いて車の移動・入出庫を行なう機械式駐車場は、特に統一された規格はなく、国土交通省の指針を目安にするのが一般的です。ただし、駐車スペースのサイズが小さいと、入れない車種が多くなってしまうので、注意しましょう。

また、機械式駐車場は車の載った台をモーターや油圧機構で操作する仕組みのため、車高や車長、車幅、重量といったポイントにも気を付ける必要があります。

並列駐車

並列駐車タイプは、駐車スペースの前に面する車路が狭い場合でも、利用しやすいことが特徴です。ただし、車体の長さに対して間口は2倍以上、車の幅に対して奥行きは90cm以上をプラスする必要がある点には注意しましょう。

縦列駐車

車を前後に連なった形式でとめる縦列駐車は、間口と奥行きが確保できない場合に有効です。注意点として、駐車をバックでする場合は車の長さに対して1.5倍、駐車をフロントからする場合は3倍のスペースを確保しなければなりません。

直角駐車

直角駐車とは、車路に対して直角方向に車を駐車する方法のことで、車庫入れ式とも呼ばれます。サイズに関するポイントとしては、車路の幅は4m以上であることです。また、ドアの可動域を確保するために、車の両サイドに合計で90cm以上の空間も必要となります。

車のサイズ以外に考慮するべきスペース

駐車場の設営にあたり、車のサイズ以外にも考慮すべきスペースがあります。ここからは、代表的な3つの項目に分けて、その特徴や注意点を解説します。

車路

車路とは、駐車場内における通行や切り返しを行なうためのスペースのことです。一般的に車路の幅は、3.5m程度とされています。

ただし、向かい合う車室の中央に車路が設けられているような配置であれば、2台の車がすれ違えるように5.0m以上の幅が必要です。車路の幅が十分に確保されていないと、車のすれ違いや切り返しが困難になります。

駐車場の出入口

駐車場の出入口としては、2台の車が同じタイミングに出入りできるくらいの幅を確保することが大切です。具体的には、片側3.6m程度あればよいでしょう。

例えば、駐車場に入る車と出る車がはち合わせた際、出入口が狭いと、どちらかの車が道を譲る必要が出てきます。しかし、適切な幅を保つことで、そのような事態を回避できます。ただし、出入口が広すぎると、不正駐車の原因ともなるので注意しましょう。

車間・背後の幅

ドアの大きさは車種に応じて異なるため、最低でも車間は60cm程度あける必要があります。ドアを全開にしても他車に接触しない距離を確保するなら、90cm以上の車間が必要です。

なお、車室の背後が壁だったり、他車の駐車スペースだったりする場合は、トランクの開閉ができるだけのゆとりも計算に入れなければなりません。目安とされる寸法に対して、利用者にとって使い勝手の良いサイズ感をプラスすることが大切です。

駐車場のレイアウトで工夫するべきポイント

駐車場の設営においてレイアウトで工夫するべきポイントは2つです。

車種に合わせてレイアウトする

工夫するべきポイントの1つは、“車種に合わせて駐車場のレイアウトを決めること”です。例えば、軽自動車が多い地域では、普通乗用車の駐車スペースを少なく割り当て、軽自動車専用のスペースを増やすことで、効率的な駐車場設営ができます。

全国軽自動車協会連合会が発表した「2021年3月末現在 軽三・四輪車県別保有台数と保有シェア」によると、1位は高知県で55.5%、2位は長崎県で55.2%といった割合です。このようなデータも参考にしながら、利用率の高いレイアウトにしましょう。

参考:2021年3月末現在 軽三・四輪車県別保有台数と保有シェア|一般社団法人全国軽自動車協会連合会

駐車場の形状に合わせてレイアウトする

駐車場の形状によっては、普通乗用車の駐車サイズとして割り当てが厳しいスペースができることもあります。このようなスペースを、軽自動車専用にすることもおすすめです。

その際、駐車スペース内に「軽」と明記しておくことで、普通自動車の誤った駐車を防止できます。さらに、1本のラインではなくU型の駐車枠を設ければ、ドライバーが自然に枠の中央に車を収めてくれるので、ドア開閉時に隣の車と接触しない車間をとることができます。

まとめ

利便性の高い駐車場を設営するためには、国土交通省が指針としている駐車場のサイズや天井の高さを知っておく必要があります。また、駐車場の出入口や車路などのサイズも考慮しなければなりません。

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