【2022年版】月極駐車場へのEV充電器設置も補助金の対象!
2022.10.19
環境問題への取り組みが活発化し、国ではEV車を普及させる取り組みが行なわれています。EV車を普及させるということは、充電設備の整備も不可欠です。そのため、今後はEV充電設備もインフラの一つとして扱われることになるでしょう。
EV充電設備が必要になる場所の一つに、月極駐車場が挙げられます。EV車を所有する人が増えれば、充電設備のない駐車場を選ぶ人が減少することは想像に難くありません。設備を充実させるための対策として、どのようなものがあるのでしょうか。
この記事では、月極駐車場のオーナーが利用できる制度について解説します。EV充電設備の導入を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
EV車の普及に欠かせないEV充電器
まず、EV車とEV充電器の現状について解説します。すでに実施されている取り組みも紹介するので、今後どのような方法でEV充電器が普及するのかについて理解を深めましょう。
EV車が抱える問題
近年、環境に優しいことや、減税、補助金などの制度が受けられることから、EV車の購入を検討している人も多いのではないでしょうか。しかし、EV車の充電を行なえる充電スタンドは、ガソリンスタンドほど普及していないため、外出先で充電しなければならない場合は注意が必要です。
EV車を充電する際は、普通充電と急速充電の2つの方法があり、どちらで充電するかによって要する時間が異なります。一般社団法人日本自動車連盟(JAF)によれば、航続距離(1回の燃料補給で走行できる距離)160kmの車で充電時間を比較した場合、普通充電では7時間~14時間、急速充電では約30分です。外出先で充電が足りなくなった場合、充電時間によって予定がずれてしまう可能性があるため、短時間で燃料補給できるガソリン車と比較すると不便に感じる要素ともいえます。
また、EV車の航続距離は、ガソリン車と比べて短い傾向にあるため、長距離の移動が想定される場合は不安になることもあるでしょう。近所での買い物などは問題ありませんが、ドライブや車での旅行を計画する際は、充電器が設置されている場所を事前に調べておく必要があります。
積極的にEV充電スタンドを設置するケースもある
環境問題への取り組みが活発化していることもあり、すでにEV充電スタンドを設置している場所も多く見受けられます。設置場所として挙げられるのは、スーパーやコンビニエンスストア、観光名所、道の駅、大型複合施設などです。
EV充電器設置の背景には、環境問題だけでなく、EV車ユーザーの利便性向上や、観光地への顧客誘致などの期待があると考えられます。交通インフラへの充電器設置を充実させたり、EV車による観光地巡りの実現を目指したりすることで、EV車の普及だけでなく、観光地の活性化にも期待が高まるでしょう。
EV充電器を導入した施設のなかには、メーカーなどと連携して大量に導入したケースもあります。連携することにより、双方のノウハウや経験値を共有した運用が実現可能です。
月極駐車場もEV充電器設置の補助金を受けられる
これまでは月極駐車場に対する補助金制度がなかったため、EV充電器設置へのハードルが高いと感じる方も多かったでしょう。2022年3月より、月極駐車場も「クリーンエネルギー自動車・インフラ導入促進補助金」の対象となりました。
ここでは、EV普及における月極駐車場の役割や、クリーンエネルギー自動車・インフラ導入促進補助金について解説します。
EV普及における月極駐車場の役割
今後、EV車の普及を目指すとなれば、充電できる場所が確保できる状態でなければなりません。しかし、現状ではEV車を充電できる月極駐車場の数は少なく、EV車を所有している人としては駐車場を選ぶだけでも手間がかかります。
EV車の充電器が設置されれば、EV車を所有する人にとって駐車場選びの決め手となりうるため、駐車場のオーナーとしても積極的に設置を検討することになるでしょう。
EV充電器の設置が進むことにより、月極駐車場はEV普及における社会インフラの一端を担う存在になります。月極駐車場への設置が補助金の対象となったことで、EV普及における貢献度の高さが認められたのではないでしょうか。
クリーンエネルギー自動車・インフラ導入促進補助金とは
クリーンエネルギー自動車・インフラ導入促進補助金とは、EV車を購入する際や、充電インフラの整備を行なう際に国から交付される補助金です。国が「EVの普及」という政策を打ち出して以降、貢献度が高いはずの月極駐車場は補助金の対象に入っていませんでした。
しかし、2022年3月より、急速充電の支援対象が拡大し、これまでは対象外だった月極駐車場も補助対象になったのです。さらに、高圧受電設備の補助枠が拡充され、EVの普及に求められる環境を整備しやすくなりました。月極駐車場が補助対象になったことで、EV車を所有している人は駐車場が探しやすくなり、月極駐車場のオーナーも契約者の維持に期待できるでしょう。
EV充電器の設置で受けられる補助金はいくら?
月極駐車場にEV充電器を設置する場合、クリーンエネルギー自動車・インフラ導入促進補助金の対象になる項目は以下のとおりです。
機器購入費 | 1/2以内 | ||||||
設置工事費 | 定額または1/2以内 | ||||||
充電設備本体 | 急速 | 50kW以上 | 300万円(蓄電池付き) | 250万円(蓄電池なし) | |||
10kW以上50kW未満 | 60万円 | ||||||
普通 | 6kW以上10kW未満 | 35万円 | |||||
6kW未満 | 25万円 | ||||||
コンセントスタンド | 11万円 | ||||||
コンセント | 7万円 | ||||||
工事費 | 急速 | 50kW以上 | 平置き | 140万円 | 540万円 | ||
10kW以上50kW未満 | 平置き | 108万円 | 508万円 | ||||
普通 コンセントスタンド | 平置き | 135万円 | 535万円 | ||||
機械式 | 135万円 | 535万円 | |||||
コンセント | 平置き | 95万円 | 495万円 | ||||
機械式 | 135万円 | 535万円 |
※表内の「平置き」「機械式」は駐車場形態のことです。
※充電設備本体:急速充電器(50kW以上)蓄電池付きの場合3口以降150万円が加算、蓄電池なしの場合3口以降125万円が加算されます。
今後、EV車の普及が進めば、充電器のある月極駐車場を求める人が増加すると予想されます。そのため、充電器が整備されていないことが契約者の獲得機会を逃す原因にもなりうるのです。安定的に契約者を維持するためには、EV充電器を整備し、EV車を所有する人の要望に応えられるようにしておくのが有効といえるでしょう。
また、交付申請期限が設けられていることを考慮した場合、これから先も補助金制度が継続的に利用できるとは限りません。数年後、補助金を受けられなくなり、月極駐車場のオーナーが全額実費で整備するとなれば、費用の負担額は非常に大きいと考えられます。補助金の制度を受けられるうちにEV充電器を整備しておくことで、金銭的な負担を軽減するだけでなく、良好な駐車場の運営を実現することにつながるでしょう。
EV充電器設置における補助金申請の流れ
補助金の申請を行なう際は、一般社団法人次世代自動車振興センターに必要書類を提出し、手続きを進めていきます。一般社団法人次世代自動車振興センターは、次世代自動車の普及推進をはじめ、EV車充電設備の設置を促進する活動などを積極的に行なっている民間団体です。
申請の際には、本人確認書類や充電設備本体の購入にかかる見積書、設置工事の見積書などを提出します。他にも、設置場所の見取図や配線ルート図、電気系統図なども必要です。
なお、申請の内容に応じて必要になる書類もあります。提出を求められる書類は導入する設備などによって異なるため、どのような設備を導入するかを決めた時点で確認しておくことが重要です。交付申請期間の2022年3月31日(木)~2022年9月30日(金)に間に合うように書類を用意しましょう。
具体的な申請の流れは、以下のとりです。
- 1.交付申請書類一式の提出
- 2.センターによる受付・審査
- 3.センターによる交付決定通知書の発行
- 4.設置工事の開始・計画変更申告
- 5.設置工事完了・支払完了
- 6.実績報告書類を一式提出
- 7.センターによる受付・審査・補助金額の確定
- 8.センターにより補助金額確定通知書発行
- 9.補助金の交付
- 10.保有義務期間(5年間)
なお、交付申請を行なう際は添付しなければならない書類があるため、不備のないようにしっかり確認しておくことが重要です。
交付申請時に添付する書類についてはこちらをご確認ください。
一般社団法人次世代自動車振興センター「交付申請時に添付する書類」
まとめ
今後、環境問題への取り組みはより活発になることが予想されるため、ガソリン車に代わり、EV車を所有する人の割合も増えていくでしょう。月極駐車場も補助金の対象となったことで、充電設備を導入するハードルは低くなったと考えられます。
充電設備を整備することにより、EV車を所有する人が駐車場を探しやすくなるだけでなく、月極駐車場のオーナーが契約者を維持することにも有効です。月極駐車場の充電設備は「社会インフラ」を支える存在になりうることから、補助金を有効活用して積極的に導入に取り組みましょう。