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月極駐車場やコインパーキングの勘定科目は?経費で落とす前に確認しよう

2024.02.05

仕事で車を使う方は、月極駐車場やコインパーキングを利用する機会が多いのではないでしょうか。

駐車場代の勘定科目は、駐車場の種類や利用目的によって異なります。適切な申告のためには、ケースごとにふさわしい勘定科目を早い段階で理解しておくことが大切です。

この記事では、駐車場の種類や利用目的ごとに、勘定科目や経費計上のポイントなどを解説します。企業の経理担当者や個人事業主の方は、ぜひ参考にしてください。

駐車場代の勘定科目は2つに区分される

駐車場代の勘定科目は、おもに「地代家賃」と「旅費交通費」に分けられます。ここでは、それぞれの勘定科目について詳しく見てみましょう。

月極駐車場に適用される「地代家賃」

月極駐車場は、1カ月単位で契約する有料の駐車場です。月極駐車場を利用する場合、毎月定額の駐車場代が継続して発生するため、勘定科目は「地代家賃」となります。

地代家賃は、事業に関わる土地や建物について、賃借料を支払う際の勘定科目です。したがって、月極駐車場の駐車場代のほか、オフィスや事務所の家賃・管理費、倉庫の利用料などが地代家賃に該当します。

なお、プライベートで使う車を月極駐車場にとめる場合、駐車場代は経費になりません。仕事で使う車の駐車場代とは別に管理しておく必要があります。

コインパーキングなどに適用される「旅費交通費」

コインパーキングは、不特定多数の人が利用可能な有料の時間貸駐車場です。「継続的」に借りる月極駐車場と「一時的」に借りるコインパーキングは、性質が異なることから、勘定科目も異なります。

月極駐車場の駐車場代が「地代家賃」なのに対し、コインパーキングを利用する際の一般的な勘定科目は、「旅費交通費」です。旅費交通費は、その名のとおり、移動・出張の旅費や交通費を支払う際に使われる勘定科目です。

ただし、コインパーキングの場合は、利用目的によってさらに勘定科目が変わることがあるため、注意しましょう。

【目的別】駐車場代の仕訳方法

先述のとおり、駐車場代は利用目的によって勘定科目が異なる場合があります。ここでは、利用目的ごとに適した勘定科目を紹介するので、会計処理に役立ててください。

月極駐車場

仕事で使う車をとめる目的で継続的に借りている月極駐車場は、オフィスや事務所と同じ扱いです。

法人はもちろん、個人事業主でも、駐車場代を固定費として経費に計上できます。このときの勘定科目は、「地代家賃」です。

また、来客用の車をとめる目的で月極駐車場を借りている場合も、「事業目的での利用」に変わりはないため、同様に計上できることを覚えておきましょう。

研修

現在の業務に関係のある研修や、今後の事業拡大に必要な研修を受けるためにコインパーキングを利用する場合、駐車場代は「研修費」に含めて構いません。研修費は、「教育訓練費」や「採用教育費」とも呼ばれます。

一方で、名目は「研修」でも目的が取引先の慰労なら、勘定科目は研修費ではなく「交際費」になります。

なお、個人事業主が開業前に受けた研修の場合は、駐車場代を「開業費」に計上可能です。

慰安旅行や社員旅行

慰安旅行や社員旅行でコインパーキングを利用する場合、駐車場代の勘定科目は「福利厚生費」です。

ただし、旅行内容が豪華すぎるとかかった費用が「給与」とみなされ、課税対象になることがあります。福利厚生費として扱うためには、次の要件を満たさなければなりません。

  • 旅行期間が4泊5日以内である(海外の場合、現地での滞在期間が4泊5日以内)
  • 旅行参加人数が全社員の50%以上である
  • 会社負担額が社会通念上一般的である

「社会通念上一般的」に明確な定義はありませんが、これまでの事例から、社員一人当たりの会社負担額が10万円未満なら認められやすいとされています。

出張

出張でコインパーキングを利用する場合、駐車場代の勘定科目は「旅費交通費」となります。

経費の水増し請求を防止するとともに、税務調査の際に困らないようにするため、日付・金額がわかる領収書に出張目的や出張先もメモしておきましょう。

接待

食事やゴルフのような接待目的でコインパーキングを利用する場合、駐車場代は「交際費」に該当します。

先述した研修費や福利厚生費などは必要経費として認められますが、交際費は原則として損金に算入できません。損金に算入できない(=課税対象額が増える)からといって、交際費以外で申告しないようにしてください。

目的ごとに勘定科目を使い分ける理由

「駐車場を利用する」という意味合いは変わらないのに、利用目的ごとに勘定科目を使い分けるのには、理由があります。ここでは、2つの理由を解説します。

経費を管理しやすい

駐車場代をひと括りに考えてしまうと、あとで振り返ったときに、何のために駐車場を使ったのかがわかりにくくなります。一方、複数の勘定科目を使って利用目的ごとに分類しておけば、管理や確認がしやすくなります。

なお、勘定科目の取り扱いに矛盾が生じないようにするには、マニュアルなどの整備が必要です。併せて、経理担当者が変わった際は、前任者のやり方を確認しましょう。

税務調査があっても問題にならない

勘定科目を使い分けないと、例えば、駐車場を接待で利用(原則損金算入不可)したのに、出張で利用(損金算入可)したときと同じように取り扱ってしまう可能性があります。特に交際費は、税務上の論点となりやすいポイントです。

早い段階で間違いに気付き、税務調査で大きな問題となるのを防ぐためには、勘定科目の使い分けが重要です。

個人事業主の駐車場代は経費にできる?

先述のとおり、旅費交通費や研修費、開業費など、個人事業主が月極駐車場やコインパーキングを利用する際の駐車場代も、経費に計上可能です。

ただし、月極駐車場を利用する際には、「家事按分(かじあんぶん)」すべきケースがある点に注意しましょう。

家事按分とは、生活のための費用と事業のための費用が混在する場合に、合理的な基準により、生活用・事業用に費用を分けることをいいます。例えば、プライベートと仕事で同じ車を使っており、その車を月極駐車場にとめている場合、仮に利用割合が半分ずつだとすると、経費にできるのは駐車場代全体の50%です。

一方、仕事専用の車を月極駐車場にとめるケースや、業務中にコインパーキングを利用するケースなどは、駐車場代を全額経費として扱えます。

まとめ

駐車場の種類や利用目的により分類した、一般的な勘定科目は以下のとおりです。

駐車場の種類や利用目的 勘定科目
月極駐車場 地代家賃
コインパーキング 出張 旅費交通費
研修 研修費
慰安旅行・社員旅行 福利厚生費
接待 交際費

ただし、個人事業主の場合、開業前に研修を受けた際の駐車場代は、研修費ではなく開業費に計上するのが適切です。また、生活用と事業用の費用が混在するときは、家事按分の処理をしなければなりません。税務調査対策という観点からも、今回解説した内容を参考に、適切な処理を心がけましょう。

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