月極駐車場の実証実験|具体的な事例と土地活用のメリットを解説
2021.11.10
月極駐車場を運営する方のなかには、収益が安定せず悩んでいる方もいるかもしれません。そこで注目すべきなのが、月極駐車場などを利用した実証実験です。社会課題を解決するために行なわれる実証実験は、月極駐車場のオーナーにもメリットをもたらすものが多くあります。
この記事では、月極駐車場などを利用した実証実験の具体的な事例とともに、実証実験に月極駐車場を活用するメリットについてもご紹介するので、ぜひ参考にしてください。
近年、月極駐車場などを利用した「実証実験」が盛んに行なわれている
近年、月極駐車場をはじめコインパーキングやタクシー会社の車庫などを活用した実証実験が、さまざまな会社で行なわれています。特に、自社にない技術を有した他業界の会社と提携することで、ユニークなアイデアを生み出す会社も少なくありません。月極駐車場やコインパーキングなどを有効活用する実証実験によって、駐車場のオーナーの収益改善や空きスペースの有効活用、管理システムの最適化などが期待されています。
早速、実際の実証実験事例について確認していきましょう。
月極駐車場活用の実証実験事例
- 「モバイル・オフィス」プロジェクト
- タクシー会社の車庫を貸し出し
- ダイナミックプライシング導入
国内最大級の月極駐車場探しサイト「アットパーキング」を運営する株式会社ハッチ・ワーク(以下、ハッチ・ワーク)は、「モバイル・オフィス」プロジェクトを始動しました。「モバイル・オフィス」プロジェクトとは、自宅で仕事スペースを確保できない方に、本来は車中泊に使用するキャンピングカーを「動くオフィス」として提供する試みです。
なお、このプロジェクトは、キャンピングカーなど車中泊用の車や車中泊スポットのシェアサービス「VANLIFE(バンライフ)」を運営するCarstay株式会社(以下、Carstay)と提携して実施されました。
働き方の多様化が進む一方で、「環境が整わないためにテレワークができない」「本人も家族もストレスを感じながら自宅で仕事をしている」などの悩みや不満を持つ方も増えています。実際、東京都心のオフィス空室率が2021年6月時点で6%台におよび、7年ぶりの高水準になっていることからもテレワーク拡大の勢いがうかがえるでしょう。
このような背景により、ハッチ・ワークの月極駐車場にCarstayのキャンピングカーを設置することで、快適な作業環境を整えられる「モバイル・オフィス」プロジェクトが立ち上がりました。利用者はユーザー登録し使用時間を予約するだけで、最大1時間無料で利用できます。
また、月極駐車場だけでなく、部屋数が少ないマンションやアパートなどの駐車場に、住人が共用できる仕事スペースとしてもキャンピングカーを設置しました。これは、住人が仕事スペースを確保するために、より広い住居へ引越ししてしまうのを防止する面でも役立つでしょう。
以上のように「モバイル・オフィス」プロジェクトは、利用者、月極駐車場やマンション・アパートのオーナー、管理会社などの幅広い範囲にメリットをもたらします。ハッチ・ワークとCarstayのそれぞれの強みを活かした、実証実験の好事例といえるでしょう。
この実証実験を皮切りにプロジェクトは拡大を続けており、第2弾として京浜急行電鉄株式会社、第3弾として三菱地所株式会社が実証実験に参入しています。
国土交通省は「タクシー改革プラン2016」に基づいて、日の丸交通株式会社、東洋交通株式会社、飛鳥交通第三株式会社といったタクシー会社と提携し、タクシー会社の車庫を貸し出す実証実験を行ないました。
通常であれば、タクシー会社の車庫を一般の方が使うことはできません。しかし、実証実験では、akippa株式会社が運営する駐車場予約アプリ「akippa(あきっぱ)」に上記タクシー会社の車庫を掲載することで、一般の方にまで利用範囲を拡大しました。これにより、タクシーが出庫している間は空きスペースとなっている車庫を、個人の一時的な駐車場や宅配事業の荷さばき場所として効率的に活用できます。
akippa株式会社では、この実証実験をきっかけに全国のタクシー営業所で空きスペースの活用を進め、1,000台規模での駐車場貸し出しを目指しています。ドライバーの高齢化により人員不足が課題となるタクシー業界の収益改善と、貨物業界の放置駐車問題への解決策として期待されるでしょう。
土地活用事業を展開する株式会社NTTル・パルクは、おもにホテル向けの価格戦略支援サービス「MagicPrice」などを提供する株式会社空(以下、空)と提携した実証実験を行ないました。この実証実験は、コインパーキングの価格設定時に発生する人的業務をデータ活用により最適化し、ダイナミックプライシングを導入することを念頭に置いたものです。
ダイナミックプライシングとは、いわゆる変動料金制のことで、サービスの需要に応じて価格が変化します。空が開発した技術により、コインパーキングごとの状況把握を即時的に行ない、時期や時間帯などによって変動する需要に応じた価格設定が可能となりました。
また、料金変更後の稼働率や売上もデータを用いて予測するとともに、料金の変更を従来の月1回程度から週1回へ変更し、柔軟に価格設定を行なうとしています。
【実証実験】月極駐車場を活用するメリット
月極駐車場を実証実験で有効活用すると、さまざまなメリットがあります。ここで、駐車場のオーナーのおもなメリットを3つ見ていきましょう。
- 空きスペースを別の用途で貸し出すことができる
- 新たな収益源を獲得できる
- 設備投資や工事などが必要ない場合もある
月極駐車場を運営していても利用者がいなければ、せっかくのスペースを役立てることができません。当然、空きスペースには収益も発生しないでしょう。
しかし、実証実験により従来の用途以外の活用アイデアが採用されれば、これまで空いていたスペースを有効活用できます。同時に、月極駐車場の収益の改善・安定にもつながるため、オーナーにとって大きなメリットとなるでしょう。
これまで月極駐車場として使っていたスペースを用いて、従来と異なる価値提供ができれば、単に収益が改善するだけでなく新たな収益源の獲得にもつながります。
月極駐車場としてはあまり価値が高くなかったスペースでも、斬新な活用アイデアで飛躍的に需要が増すことも十分に考えられるでしょう。自分では思いつかない視点から新たな収益源を得られることは、うれしいポイントといえます。
実証実験に賛同する場合、設備投資や工事などの負担が発生しないことも少なくありません。実証実験の内容にもよりますが、設備投資や工事などが不要であれば、オーナーは大きなリスクを負うことなく土地活用の新たな可能性を模索できるでしょう。
まとめ
月極駐車場やコインパーキングなどでは、今回ご紹介した「モバイル・オフィス」プロジェクトのように、さまざまな社会課題の解決を目指した実証実験が行なわれています。実証実験に参加することで、空きスペースの有効活用や新たな収益源の獲得など、月極駐車場のオーナーにとってもうれしいメリットが得られるでしょう。
また、実証実験は「1度行なえば終わり」ではありません。実証実験で得たデータと技術を活用して新たな実証実験につなげたり、月極駐車場の稼働をさらに最適化したりすることも可能です。
ハッチ・ワークはDX推進を掲げ、月極駐車場の管理や活用をサポートしています。月極駐車場を使用した実証実験に興味がある方や、運営する月極駐車場の収益を安定させる方法を探している方はぜひお問い合わせください。